タカノフーズのあゆみ
2009〜 2012年 髙野成徳新社長のもと震災を乗り越え、80周年を迎える
平成22(2010)年3月、長きにわたり社長を務めた髙野英一が取締役会長となり、髙野成徳が代表取締役社長に就任しました。折しもリーマンショックの影響で日本経済は低迷し、納豆業界においては主要スーパーがプライベートブランド商品の導入を拡大し、販売単価を押し下げる圧力が強い時期でありました。
この逆風のもとで、髙野新社長は「ねばちっこく、やりぬく」を重点方針として対応にあたりました。その経営スタイルの特長は、既成概念にとらわれない発想と現場主義にありました。
新社長就任の前年、平成21年5月にはISO9001の認証を、タカノフーズ関東㈱、タカノフーズ東北㈱、タカノフーズ関西㈱、タカノフーズ中四国㈱、タカノフーズ九州㈱、㈱井川食品、ヒナタフーズ㈱の各工場で取得していました。
髙野社長は就任後、省力化や人員の抑制など経営資源の集中化を進め、生産効率向上とコスト削減に取り組みました。
ところが社長就任の翌年、平成23年3月に東日本大震災が発生。大津波と福島第一原子力発電所の事故も加わり、未曾有の被害をもたらしました。宮城県、茨城県では震度6強を記録し、当社の水戸工場と東北工場(納豆部門)、筑波工場と鬼怒川工場(豆腐部門)が被災しました。従業員にけが人がなかったのは不幸中の幸いだったが、生産ラインの復旧後もサプライチェーンの断絶による資材不足でしばらく生産ができず、災害への根本的な対策を迫られる大きな教訓となりました。
平成24年3月には、東日本大震災後の危機管理対策の一環として、営業本部を東京都台東区東上野に移転しました。これと併せて、営業活動強化のため埼玉営業所を営業本部に統合し、宇都宮営業所を真岡市に移転して効率化を進めました。同年10月に冷凍豆腐メーカーの㈱マメックスを当社グループに迎え、豆腐の拡販と学校給食の販売拡大などに着手しました。
営業部門も体制を強化し、平成23年3月に新設した部署であるマーケティングで消費者リサーチ業務とダイレクト販売を開始。翌年3月には「おかめ本舗」インターネット通販サイトを開設し、納豆博物館併設の直売店で販売する贈答用詰め合わせ商品などを全国展開しました。
さらに納豆料理、豆腐料理の幅を大きく広げることを目的に、当社が監修したレシピ本を制作。平成24年2月に『おかめちゃんの栄養たっぷり納豆レシピ 社員だけが知っている75品』、翌年1月には『おかめちゃんのアイデアいっぱいお豆腐レシピ からだおもいの73品』を出版しました(いずれも発行:㈱ワニブックス)。
消費者とのコミュニケーションの場となるホームページも、平成24年4月にリニューアル。お客様が必要とする情報やその関連情報に、よりアクセスしやすく、より身近に感じていただくことを目的に、コンテンツ面の充実やユーザーインターフェースの改善を行いました。
消費者志向のマーケティングは商品開発にも反映されました。北海道産大豆をじっくりと発酵させ、日高産昆布と枕崎産かつお節の旨みだしたれを添付した「北海道小粒納豆」を、平成24年8月に、創業80周年記念商品として発売。期間限定販売だったが好評により、翌年3月 には定番商品化しました。
そして記念すべき創業80周年を迎えた平成24年2月、東京・上野精養軒で記念式典を開催するとともに、製品づくりに対する従業員のこだわりを伝える「おかめのこだわり」をホームページで公開しました。